[Tips 02] コンタクトから撮影までのコミュニケーション

[Tips 02] コンタクトから撮影までのコミュニケーション

モデル募集をしていれば、いずれ必ずやモデルさんからの連絡があると思う。
連絡方法はいろいろあると思うが、ウェブ上で募集する際、その多くはコンタクトフォームやメール、SNSのメッセンジャー機能などだろう。
以前のブログサイトではメールアドレスなどを記載しつつコンタクトフォームを公開していた。

現在このサイトでは、基本的にコンタクトフォームを通じてモデルさんからの連絡を受付している。
コンタクトフォームにしている理由としては、記述も写真添付もメールなどよりも手間がかからず、送りたいと思ったその場で送れると思ったからだ。
もっともコンタクトフォームにもメールアドレスを記載する欄があり、こちらからの連絡の第一報はメールを使うことになるのだが、フォームがあることで、スマホであれパソコンであれ、メールソフトを起動することなくそのまま書いて送ることができるので、応募までの壁が一段低くなるのではないだろうか。

フォームから送られてくる文面は様々ではある。
「募集を見てメールしました」程度の内容の方もいれば、自己PRを書いてくださる方もいる。
いずれにしても、いただいたメールを起点として、何往復かのやりとりは発生することになるので、最初の段階でどういうメール本文であっても、私はほとんど気にしていない。
まずはこの「応募しました」が、とても重要であると思っている。

応募いただいたモデルさんの多くは本業ではないため、応募したものの次のステップがわからない。
もっとも、仮にプロの方が応募してくださったとしても、私のほうがアマチュアであるため、契約や顔合わせといったプロ同士の手続きやコンタクトは存在しないため、こちらからのアプローチがどういうものであるかを説明する必要があるだろう。

私が応募メールをいただいた方にリプライする返信メールのサンプルは以下の通りである。
これも絶対こう決めているわけではなく、応募してくださった方の本文次第で、それぞれで文面が異なることも多い。

 1: 日本花子様
 2:
 3: 「Photographer Atsushi Ezura」サイトをやっております、
 4: えづらあつし と申します。
 5:
 6: このたびは、当サイトのモデル募集にご興味いただきまして、
 7: 誠にありがとうございます。
 8:
 9: 私が普段はサラリーマンをしている関係で、ポートレイト撮影は基本的に土日祝が中心となってしまいますが、その範囲で撮影が可能でしたら、候補日をお教え頂ければと思います。
10: 撮影の前に顔合わせやお打ち合わせ、ご相談などをご希望されるようでしたら、その旨ご返信頂ければ幸いです。
11:
12: また、もし差し支えなければ、参考までに簡単なプロフィールと(個人情報などは含めなくて大丈夫です)、自撮りでよいのでスナップをお送りいただければ幸いです。
13:
14: 私のプロフィールは、こちらをご覧いただければ幸いです。
15: https://zura.org/w3lt
16:
17: どうぞ、よろしくお願いいたします。

1行目は当然のごとく「様」でお送りする。Tips01でも書いた通り、馴れ馴れしいやりとりは禁物だと思っているからだ。
特に、一番最初の返信となるメールでは、なおのこと真摯な対応を心がけるべきだろう。

3〜7行目で軽い自己紹介とお礼の言葉を述べている。

9〜10行目は、個人的なエクスキューズを述べつつ、撮影日時の調整依頼をしている。
特に10行目では、いきなり撮影は…と感じている女性モデルさん向けに、事前に人の多いカフェなどでの対面をして頂くことで安心感を持っていただける機会を作っている。

12行目は、撮影前までに頂いておきたい情報を依頼している。
カメラマンによって事前に把握しておきたい情報は異なると思うので、自分が知りたい情報をお伝えするようにする。
ただし、あまりに根掘り葉掘りとメールで聞いてしまうと、入力や添付ファイルの準備だけでも大変になったり、センシティブな情報をネット上でやりとりしたくないという人もいると思うので、必要最小限に止めるのが無難だろう。

14行目は12行目に呼応する形で記載している。
つまり、モデルさんの情報だけ引き出すのではなく、自分の素性もお伝えしますという意図をもっている行である。
これがあるからモデルさんが安心するかどうかは、正直わからない。というか、たぶん、そんなことはないと思う。自分の素性なんていくらでも偽装できるわけだから。
とはいえ最初に返信するメールでは、とにかく一方通行であるという状況を回避したい。そういう思いを持った1行であると思っていただきたい。

Ayana

Ayana

たった1通のメールを行ベースで解説してみたが、これが別に正しいものでも標準でもないし、ましてやすべてのモデルさんを安心させる材料になっているとも限らない。
だから凝りすぎずにシンプルに返信メールを書けば良いと思う。

その後、プロフィールや写真などと共にモデルさんからの返事があったら、それに対する回答を早めにする。
最初の返信もそうだが、応募をもらってから時間があいてしまうと、モデルさんの予定が立てにくくなったり、興味を持たれていないか、メールが読まれないか、今は募集をしていないか、などと判断されてしまう可能性がある。
とにかく、こまめなリプライが大事だろう。

仮に以下のような返信があったとする。

えづらさま
ご連絡ありがとうございます。

土日でしたら、10日と17日は空いております。

25歳の会社員、都内在住です。
会社パンフのモデル撮影を数回経験したぐらいのため、ほぼ素人ですが、
綺麗に自然な雰囲気を撮っていただけたらうれしいです。

趣味は料理とピアノです。

さらに2通目の返信についても、くだけた文体などを使わずに、可能な限り丁寧な文章を作成するべきだろう。
ただ、硬い文面だけではぎこちなくなってしまう可能性もあるので、相手が多少リラックスできそうな形で少し柔らかめの文体にするのも一つの方法だと思う。
以下も説明の便宜上、行番号を振っている。

 1: 日本花子さま
 2:
 3: えづらです。
 4: 早速のお返事ありがとうございます!
 5:
 6: プロフィール写真と撮影可能候補日をお送りいただき、ありがとうございます。
 7: 当方は17日が空いておりますので、もし花子さまのご都合が合いましたら、お写真撮らさせていただければと思います。
 8:
 9: また、何かご不明、ご不安な点や、撮影地候補などございましたら、遠慮なくおっしゃってくださいね。
10:
11: ちなみに、現在渋谷にて、私も参加するグループ写真展をやっております。
12: 2日はギャラリーに私もおりますので、もしお近くでお時間がありましたら、私の作品を見て頂きつつ17日のお話もさせて頂ければと思いますが、いかがでしょうか?
13: 花子さまのご都合もあるかと思いますので、お時間が許すようでしたら、ぜひお越しください。
14:
15: 引き続き、どうぞ宜しくお願い致します。

6〜7行目は、撮影候補日とプロフィール送付に対するお礼をしている。
頂いた候補日の中で自分も空いている時間があれば、まずはその日をモデルさんに明確に伝えることが重要だ。重要なため、本文の最初の方で解決している。

9行目は、まだまだ不安があるかもしれない、あるいは疑問点を持っているかもしれないモデルさんに向けた行である。
また、モデルさん側に希望する撮影候補地があれば、事前にリサーチしておくのもよいだろう。
「公園がいい」ということであれば、自分が得意としている公園や、モデルさんもしくは自分の近場の公園という選択肢もあったり、あるいは「公園=緑の多い場所」ということでれば、公園以外でも「○○など、緑あふれる自然豊かなスポットがありますが、いかがでしょうか?」という逆提案もできるだろう。
また、こうしたコミュニケーションの往復をするための時間的余裕も必要であることから、返信は可能な限り早めに、まめに行うほうがよいだろう。

11〜13行目は、事前に会って打ち合わせをするなどの機会を提案している。
自分が参加し、過去に撮影したポートレイト写真などを作品展示している写真展などを紹介し、その在廊期間中に簡単に顔合わせや打ち合わせをするなども提案できると思う。
モデルさんが不安な場合、事前に顔合わせを希望する方もいるので、その機会提供は非常に重要だと私自身は感じている。

Ayana

Ayana

実際、撮影決定前に新宿駅近くのカフェで打ち合わせをするなども過去のモデルさんにはおられたし、こうしたコミュニケーションによって当日の撮影自体も円滑に進めることが可能となれば、この提案は重要な意味を持つと言えるだろう。

15行目は締めくくりの1行だが、「引き続き」という前置きを書いておくことで、モデル撮影に関するやりとりが継続していることを強調する意図がある。
あってもなくてもよい言葉かもしれないが、私は次にモデルさんから連絡を期待している際には、かならずこの「引き続き」という言葉を使っている。
コミュニケーションのボールが現在どちら側にあるかを意図させるには便利な言葉ではないだろうか。

ちなみに、事前に顔合わせを希望されたモデルさんへの返信は、以下のような感じであった。

 1: 日本花子さま
 2: えづらです。早速のお返事ありがとうございます!
 3:
 4: 一度お会いしてからとのこと、かしこまりました。
 5: お会いできる場所が新宿あたりでしたら、当方のオフィスからも近いため、平日19時以降でのお顔合わせも可能かと思います。
 6: もちろんそれ以外でも、新宿周辺でしたら時間調整の上、お伺いできるかと思います。
 7:
 8: またお会いしてお話させていただいた際に花子さまと撮影のご意向を確認できましたら、引き続き日程調整もできたらと考えております。
 9:
10: どうぞ、よろしくお願いいたします。

4〜6行目で、事前顔合わせについての了承を返事している。
具体的に顔合わせをする場所と時間を調整することで、相手の返信を促している。
一旦、集合場所を新宿という形で仮定しておき、もし都合が悪い場合はモデルさんから別場所の提案があるだろうから、都度調整していけばよいだろう。

いまどきだと、メールだけでのやり取りを継続することはまれな場合が多い。
最終的ににはLINEなどのメッセンジャーアプリにやりとりを移行し、待ち合わせまでの連絡をやりとりすることになると思う。

また、自身のポートレイト作品の使用の仕方についてモデルさんに十分確認しておきたいなど、各種確認事項があるようであれば、このコミュニケーションの中であらかじめしておくとよいだろう。
プロのモデルさん、あるいは事務所との契約であれば、事前に契約書に記載されていることが全てであり、それ以上でも以下でもなくなる。
しかし、アマチュアカメラマンによるアマチュアのモデルさんの撮影に、そうした契約などはなかなか交わせない。そこまでの高い壁を設定してまで撮影して欲しいというアマチュアモデルも居なくはないだろうし、そういう方のためにもモデルリリースなど本来であれば用意するのがベストではあるのかもしれない。しかし、通常はアマチュアモデルさんにとっては、そうした約束事は壁でしかないのではないかと思う。
とはいえ、撮影当日や撮影後に「それは聞いていない」などのトラブルになれば、お互いの時間や気持ちが無為になってしまいかねないのも事実である。
そうした事態を事前に回避しておくことも、撮影前コミュニケーションの大切な役目の一つである。それを書面や法務的な拘束力ではなく、気持ちのやりとりの積み重ねで確認していくということが大切なのだと私は感じている。



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